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2025.06.24

ジェルネイルの基礎知識

ネイル道具紹介「ファイル」

はじめに

ネイル施術において、ファイル(やすり)は欠かせない基本アイテムです。ネイルマシンが多く使われるようになった今でも、ファイルは手の感覚で調整できる大切なツール。とくにジェルネイルでは、下準備やオフ、長さ出しまでさまざまな場面で使い分ける必要があります。ここでは、ファイルの基礎知識から粗さ(グリッド)の選び方、目的別の使い分け、衛生管理まで、ネイルを楽しむために知っておきたい情報をご紹介します。

ファイルとは?その基本と役割

ファイルとは、爪の表面を整えたり、ジェルやアクリルを削ったりするためのやすりのこと。
ファイルは「芯材(スポンジやプラスチック)」「表面の研磨紙」「グリッド(粗さ)」という要素で成り立っており、それぞれの特徴が使いやすさや目的に影響します。施術内容によって適したタイプを使うことで、時短・精度向上・ダメージ軽減が叶います。

素材も重要です。紙やスポンジタイプのほか、洗浄可能なメタルタイプもあります。使い捨てにするか、洗って繰り返し使うかは、衛生面やコスト感覚に応じて選びましょう。

形状も手にフィットするかどうかを左右します。ストレート型は万能で初心者にも使いやすく、ムーン型は甘皮周りやサイドラインに沿いやすいのが特徴。最近では、湾曲した「ボート型」も人気で、広範囲を一気に削りたいときに便利です。

ファイルに関わる専門用語

この先ファイルに関する説明をする前にファイルに関係する専門用語をご紹介します。

グリッド

ファイルの目の粗さを表す単位です。
グリッドとは、1インチあたりに含まれる粒子の数を表します。
ファイルの表面に180Gのように表示されることが多く180グリッドと読みます。
数字が小さいほど目が粗く(よく削れる)、
数字が大きいほど目が細かく(表面を滑らかに整えられる)なります。
例えば、ジェルオフやスカルプチュアの削りには100G〜150Gの粗め、爪の形を整えるときは180G、仕上げやサンディングには220G〜240Gがよく使われます。

ファイリング

ファイルを使用して爪を削ることです。
スポンジファイル(バフ)で爪や人工爪の表面を削ったり磨く作業のことはバフがけと呼ぶこともあります。

アクリル

ジェルネイルとは全く異なる材料・方法でネイルを楽しむ方法です。
ジェルネイルよりも強度があり、長さのある人工爪を形成するのに適しています。
アクリルネイルを専門にしているネイルサロンもあります。

面取り

ファイルを初めて使用する前に必ず必要になる作業です。
方法としては、ファイルの面の鋭利な角の先端をもう一つ別のファイルで削り、鋭利さを和らげる作業です。
この作業を行わないと、爪やジェルネイルを削る際に、ファイルの角が皮膚にあたり皮膚を傷つけてしまうため必ず行う必要があります。

ファイルの使い方

ファイルは必ず一方向に動かすようにしましょう。
往復がけをしてしまうと、割れたり欠けやすくなります。

持ち方

利き手の親指と人差し指でファイルの片方の端をつまむようにして持ちます。
ゼブラファイルやスポンジファイルで大きな面をファイリングする際には使用したい面に利き手の中指、反対の面に親指と人差し指を3点置きして両側からしっかり支える持ち方もあります。

当て方

地爪の長さ調整の場合は爪に対して45度の角度でファイルを当てます。
この角度が正しくないとバリが多く発生します。
人工爪の表面をファイリングしたり、シャイナーで地爪の表面を磨く際には、持ち方でご説明した指を3点置きする持ち方で持ち、中指と親指の間の範囲のネイルファイルを使用します。

削れない?と思ったら

ファイルの向きを変えて満遍なく面を使用するようにします。
ただファイルは消耗品です。削りにくいと感じたら新しいものと交換しましょう。

ファイルの種類と選び方

ファイルにはいくつかの種類があります。
用途や目的に合わせて使い分けることで時短ができたり、地爪を傷つけ過ぎずにネイルを楽しむことができます。

エメリーボード

厚みの薄いファイルです。
プロ用のエメリーボードの多くは木の薄い板に研磨剤を吹き付けているもので、地爪の長さ・形調整に適しています。180グリッドのものが一般的です。
厚みのあるものやグリッド数の小さいもの(目がより粗いもの)もありますが、地爪を正しく削るためには厚みが薄く180グリッド程度のエメリーボードがおすすめです。
実は表と裏で角の鋭利さが異なるので、地爪をどんな風に削りたいかで使い分けられたらあなたもプロ級!

ゼブラファイル

一番硬さがあり、良く削れるファイルです。
ウォッシャブルファイルとも呼ばれ、洗ったりエタノールで消毒ができるため衛生的に繰り返し使用することができます。

幅広いグリッド数(80~220G)があり、目的によって使い分けます。

スポンジファイル

バッファー、バフとも呼ばれます。
表面の艶出しや滑らかにする仕上げに使用します。
幅広いグリッド数があり、グリッド数が小さいファイル(目が粗い)からグリッド数が大きいファイル(目が細かい)の順番に使用することで、表面をより滑らかに整えることが出来ます。

シャイナー

爪磨きとも呼ばれ地爪や人工爪の表面の艶出しに使用します。
シャイナーには研磨剤が含まれており、使用するととてもツルツル、ピカピカとした表面となります。
簡単に見た目が変わるのでつい使いたくなりますが、
少しずつですが爪を削ってしまうため使いすぎには注意が必要です。

施術別!ファイルの使い分け

様々な種類のあるファイルをどのような場面で使用することが良いのか、それぞれご紹介していきます。

ジェルネイルの下準備

プレパレーション(ジェルネイルを施す前に地爪を整える準備作業)ではスポンジファイルを使用します。
プレパレーションに適しているのは150~200グリッド程度のやさしいグリッドのスポンジファイル自爪を傷めないよう力加減に注意しながら、甘皮周りや表面のツヤを軽く落とします。最近はノンサンディングタイプのベースジェルも登場していますが、少しのサンディングで持ちが変わることもあるため、爪質を見極めた上で使い分けましょう。

ジェルオフの工程

リムーバーの浸透を良くするためにトップジェル層を削るためにゼブラファイルを使用します。ここで使用するのは150グリッドの粗めのゼブラファイルがおすすめです。削りすぎず、けれど十分にトップジェル層を破ることが大切です。フィルイン施術を行うサロンでは、この段階で必要な層だけを残すよう調整できるファイリング技術が求められます。

アクリルネイルや長さ出しのフォルム・表面の調整

ジェルネイルで長さ出しを施したり、硬さのあるアクリルで人工爪を形成した際に表面を整えたり、長さを調整で硬さと厚みのある表面を削る際にはグリッド数の小さい粗めのゼブラファイルがおすすめです。150と180グリッドがあると便利です。

バリ取り

ファイルで地爪や人工爪の長さを調整した際に、ネイルの裏側に薄い層が残ることがあります。これをネイル用語でバリと呼びます。バリを残したままネイルを施す工程を進めると、浮きや欠けの原因になるだけでなく、仕上がりの見た目も損なわれます。
スポンジファイルを使用して、形を変えない程度に軽くファイリングするとバリを取ることができます。180グリッドが一つあると便利です。

地爪の調整

ジェルネイルを施す前だけでなく、二枚爪の予防のためにも地爪の長さ・形の調整には爪切りではなく、エメリーボードの使用がおすすめです。
爪切りのパチンという衝撃は爪の3層構造に対して強すぎてしまい、二枚爪や亀裂の原因となります。こまめにエメリーボードで整えることで爪を美しく保つことができます。

表面磨き

人工爪や地爪の表面にツヤをもたせたいときは、シャイナーを使用します。
グリッド数が大きいほどツヤが綺麗に出せます。
磨く前には爪表面のダストやゴミを綺麗に取り除くことも大切です。

ファイルの衛生管理と寿命

プロの現場では見落とせないのが、ファイルの衛生管理。使い捨てファイルを使用するサロンも増えていますが、再利用する場合には洗浄・消毒が必須です。水洗い可能なファイルや、消毒液に強い素材を選ぶことで衛生的に長く使うことができます。

また、ファイルは消耗品です。目が詰まったり、研磨力が落ちたりすると作業効率が下がるだけでなく、爪を傷つけるリスクもあります。ファイルが削れなくなってきたと感じたら、迷わず新しいものに交換しましょう。

まとめ ファイルはプロの必須武器

ファイルは、ただの“やすり”ではありません。その選び方、使い方、そしてメンテナンス方法によって、施術の完成度や効率、プロの現場では顧客満足度まで大きく左右します。数百円で買えるファイルひとつにこそ、こだわりを詰めることができるのです。自分の目指すネイルスタイル・施術方法に合わせて、自分にぴったりなファイルを見つけてください。

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5’OFF スタッフ E.M
ネイリスト歴11年
5’OFFでは商品の企画や開発、講師としてセミナーなどを開催しています。