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2025.05.30

化学でみるジェルネイル

ジェルネイルのダスト問題とは?体に悪いとされる原因や対策を解説

 

ジェルネイルをオフする際、細かい削りカスの「ダスト」が出てきます。
ダストは体に悪いとされていますが、詳しいことまでは分からないという方も多いでしょう。
そこで本記事では、ネイルダストが体に悪いとされる原因や、サロンでできるネイルダスト対策などを解説します。

ネイルダストとは

ダストは、ちりやほこり、乾いた粉末という意味です。
そしてネイルダストとは、ネイルケアやジェルネイルなどをオフする際に発生する、削りカスのことを指します。
サロンでは、ネイルマシンを使ってオフを行うのが一般的であり、その際に大量のダストが発生します。
大量のダストは粉末状で、作業中に指先や手が真っ白になるほどです。
細かい粒子は空気中にも飛散するので、吸い込まないための対策が必要となります。

ネイルダストが体に悪いとされる原因

ネイルダストが体に悪いとされる原因は、主に以下の4つです。

<ネイルダストが体に悪いとされる原因>
・吸い込んだまま肺に蓄積される
・眼球が傷つく可能性がある
・肌荒れのリスクが高まる
・アレルギーを引き起こす可能性がある

以下では、これらの原因を解説します。

吸い込んだまま肺に蓄積される

ジェルネイル施術時に発生する粉塵(ダスト)は非常に微細です。通常であれば体毛や咳などにより空気中の粉塵はある程度フィルターされますが、極めて小さい粒子はそのまま肺の奥(肺胞)まで到達し、蓄積される恐れがあります。
長期的に大量に吸い込むと、塵肺や呼吸器の不調、アレルギー反応などの健康被害を引き起こすリスクがあります。
特に無機粉塵として分類される一部成分は体内で分解されにくく、炎症や組織の変化(繊維化)を引き起こす可能性も指摘されています。

眼球が傷つく可能性がある

ネイルの施術は手元に顔を寄せるため、自覚がなくてもダストが目に入ってしまうことがあります。また、ダストは非常に細かい粒子なので、顔を寄せていなくても、空気中に飛散しているものが目に入る可能性もあるでしょう。
たとえ微粒子でも、異物が目に入れば角膜が傷ついてしまいます。コンタクトレンズをしている場合は、レンズと眼球の間にダストが入り込むことで、眼球自体が傷つく可能性もあるのです。

肌荒れのリスクが高まる

ジェルネイルをオフしている間は、手だけでなく、顔にもダストがついてしまいます。ダストにはアクリル樹脂が含まれるので、肌が敏感だったりトラブルがあったりすると、肌荒れのリスクが高まります。お客様は施術を受けている間だけですが、ネイリストは毎日数時間ダストを浴び続けることになるため、皮膚疾患が起こりやすくなるかもしれません。

アレルギーを引き起こす可能性がある

ネイリストは、毎日ネイルオフの施術を行うので、大量のダストを浴びてしまいます。ダストは体にとって異物なので、肌が弱かったりバリア機能が低下していたりすると、アレルギーを引き起こす可能性があります。
アレルギー症状は人によって様々ですが、アレルギー性鼻炎やアレルギー性皮膚炎、気管支喘息などが起こるリスクがあります。

サロンでできるネイルダスト対策7選

サロンでも、可能な限りネイルダスト対策を行う必要があります。本章では、サロンでもできるネイルダスト対策を7つ紹介します。

マスクをする

マスクをすると、空気中のダストを吸い込む量を減らす効果が期待できます。

メガネをかける

メガネをかけると、目にダストが入るリスクを軽減する効果が期待できます。

集塵機を使用する

集塵機は、ネイルをオフするときに使うアイテムで、オフで発生するダストを吸い込んでくれます。メーカーによって吸引力は異なるため、完全に吸い込んでくれるわけではありませんが、空気中に飛散するのを防ぐ効果が期待できます。

空気清浄機を設置する

ダストの粒子はとても小さいので、集塵機を使っても、清掃をしても施術台周辺に積もってしまいます。積もったままにしておくと、施術の度に舞い上がってしまうので、空気清浄機を設置しましょう。空気清浄機は、浮遊しているダストを吸い込んでくれるため、効率良く除去することができます。

水分を含むタオルやキッチンペーパーを敷く

集塵機や空気清浄機はコストがかかるので、すぐに用意できないかもしれません。用意できない場合は、水分を含ませたタオルやキッチンペーパーを敷きましょう。ダストは水分に吸着する性質があるため、水を含ませたものを敷いておくことで、飛散量を減らす効果が期待できます。

作業後にすぐ顔や手を洗う

ダストは大量に飛散するので、顔や手に付着します。払えばある程度は落ちますが、目に見えない粒子が付着しているため、作業後はすぐに顔や手を洗うのがベストです。
顔を洗うことが難しい場合は、ウエットティッシュなどで軽く拭き取るようにしましょう。立て続けに施術する場合は、ネイリスト用のグローブ(ゴム手袋)を着けるのがおすすめです。

頻繁に掃除を行う

集塵機や空気清浄機を使っていても、細かい粒子のダストは床に落ちて堆積してしまいます。堆積した粒子はちょっとした動きで舞い上がるので、施術をしていなくても吸い込んでしまうリスクがあります。
施術後はもちろん、時間が空いたら頻繁に掃除を行いましょう。掃除機をかけても良いですが、製品によっては排気口から粒子が出てきてしまったり、排気のせいでさらに粒子が舞い上がったりする可能性もあります。そのため、フローリングワイパーで掃除をするのがおすすめです。

ネイルダストはお客様にも配慮することが大切

ネイルダストによる健康被害のリスクは、ネイリストだけではありません。お客様も同じように、ダストを吸い込んだり浴びたりしてしまうので、配慮することが大切です。可能であれば、マスクやメガネの着用をお願いする、お客様の荷物が汚れないように、蓋付きのカゴを用意するなどの配慮を忘れないようにしましょう。
また、施術後は次のお客様のために、施術台やネイル用品のダストをしっかり払い落として拭き上げ、清潔な状態を整えておくことも忘れないでください。

まとめ

ネイルダストは、ネイリストだけでなく、お客様にも健康被害を引き起こすリスクがある物質です。この物質を可能な限り人体に入れず、サロンを快適な環境に整えるには、マスクやメガネの着用、集塵機や空気清浄機の導入が必要不可欠です。

安全かつ衛生的なサロン運営をのために、できることから取り入れていきましょう。

 

このコラムを書いた人
O.F
ネイル業界で働いて歴20年。
化学の知識を元に新しいネイル商材や技術を開発しています。