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2026.01.26

化学でみるジェルネイル

ジェルネイルに含まれる成分をわかりやすく解説

美しい爪を楽しむために幅広く使われているジェルネイルは、さまざまな化学物質が使われています。安全にジェルネイルを楽しむために、ジェルネイルに含まれる成分をくわしく解説します。

ジェルネイルとは?

ジェルネイルを解説する図

ジェルネイルはマニキュアとは違い、硬化ライトを当てることで固まる光硬化性樹脂を使ったネイルです。ぷっくりとしたツヤ感があり、1分ほどの短時間で硬化し、デザインの自由度が高いなどの特徴があります。

ジェルネイルは大きく分けると、柔軟性がありネイルサロンやセルフネイルで広く使われているソフトジェルと、硬い素材でできておりリムーバーでは落とせずファイルかマシンで落とさなければならないハードジェルの2種類がありますが、本記事では一般的に使われているソフトジェルについて解説します

ジェルネイルに含まれる主要成分

ジェルネイル(ソフトジェル)は一般的に、次の成分でできています。

  • (アクリレート)オリゴマー: ジェルネイルの主成分。粘度が高く、強度や柔らかさを左右する。
  • (アクリレート)モノマー: 粘度を調整し、持続性や塗りやすさを向上させる。
  • 光重合開始剤: UV/LEDライトによりジェルの硬化を促す成分。
  • 添加剤(顔料、フィラー): 色付けや作業性を向上させる。

オリゴマー

オリゴマーの特徴

オリゴマーは、ジェルネイルの主成分です。さまざまな種類があり、水あめのように粘度が高く、接着剤やコーティング剤などにも使われるウレタンアクリレートという樹脂がよく使われます。このオリゴマーの種類により、ジェル硬化後の強度や柔軟性を調整します

また、分子量が大きい成分のため、モノマーより皮膚刺激性が低いとされています。なお、ジェルネイルの主成分のため、商品の成分表示の最初に記載されていることが多い成分となります。

モノマー

モノマーの特徴

モノマーは、オリゴマーよりも分子量が小さく、粘度が低い成分です。オリゴマー(ウレタンアクリレートなど)は、そのままだとかなり粘度が高く、傾けても垂れないものもあります。そのため、粘度の低いモノマー成分を配合することで粘度を調整し、爪に塗りやすくします

モノマーもUVやLEDライトにより固まる(硬化する)特性があります。そのため、モノマーの種類や配合量を調整することで主成分のオリゴマーの性能(柔軟性、密着性、硬化性、耐久性など)を向上させることもできます

ただし、モノマーは皮膚刺激性皮膚炎やアレルギー性接触皮膚炎を引き起こす恐れもあります。モノマーとして、よく使われるHEMA(ヘマ)やアクリル酸などは、ジェルの爪への塗りやすさの向上、爪への定着性(もち)の向上、硬化性の向上などのメリットがありますが、皮膚刺激性と感作性(アレルギー反応が出やすい)が高いため、アレルギー体質の方は施術中に皮膚に付着しないよう注意することが重要です。

光重合開始剤

光重合開始剤の解説

光重合開始剤は、UVやLEDライトの光を吸収し、ジェル成分を固める(硬化させる)成分です。ジェルにライトの光を当てることで固まる(硬化する)ことを光重合反応と言います。その反応のきっかけとなる成分がこの光重合開始剤です。光重合開始剤はライトから照射される光のエネルギーを吸収し、オリゴマー、モノマーを固めるきっかけをつくります。これにより、ジェルが硬化して高い耐久性や美しい仕上がりを実現することができます。

光重合開始剤もいくつか種類があり、それぞれライトの種類(UV、LED)との相性があります。よく使われている光重合開始剤に対応するライトは以下の通りです。

・ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:UVライト(365nm吸収波長)対応

・トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド:UVライト(365nm吸収波長)+LEDライト405nm吸収波長)対応

なお、太陽光には紫外線や可視光が含まれるため、ジェルが太陽光にあたると硬化してしまいます。日光が当たる窓際での使用には、注意が必要です。また、室内の照明、特に蛍光灯にはジェルが固まる光がわずかながら含まれているので、ジェルのふたを長時間開けたままにせず、使用後は速やかにふたを締めて、光をさえぎるようにしましょう

添加剤(顔料、フィラーなど) 

添加剤について

カラージェルは顔料で色を付けています。顔料の粒子サイズや濃度により発色や均一性が変わります。また、クリアのジェルでも、固めると薄く黄色になるものには、紫の顔料を少し配合することで黄色感を低減しているのもあります。

また、フィラーという細かい粒子が配合されていることもあります。成分名としては、シリカやジメチルシリル化シリカが知られています。粘度の調整や施術時の作業性の向上(垂れにくくする、糸をひきにくくする)のために配合します。

まとめ

  • ジェルネイルはオリゴマー、モノマー、光重合開始剤、添加剤から成る。
  • オリゴマーはジェルネイルの主成分。分子量が大きく粘度が高い。
  • モノマーは分子量が小さく粘度が低い。粘度の調整に使うほか、柔軟性や密着性、硬化性、耐久性を向上させるために使う。
  • モノマーのうちHEMAやアクリル酸はアレルギーを引き起こすことがある。
  • 光重合開始剤は、光のエネルギーを吸収することで、ジェルネイルを硬化させるきっかけとなる物質で、種類により対応するライトが異なる。
  • 添加剤には、色を決める顔料や、粘度の調整・作業性の向上に使うシリカなどがある。

 

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コラムを書いた人
T.F
化学薬品メーカーにて研究開発に従事。
化学薬品の科学的特性を生かし、ネイル商材の開発を行っている。